書斎から NozomN の書斎から

間取り(家のコトバ3)

 間取りを英語で言うと「the plan of a house」とか、「the arrangement of the rooms」になる。間違いはなさそうだけれど、ちょっとニュアンスがちがうなあ。

 それは「間」ということばの働きによるものだと思う。「八畳間」と言うのと、「13.2㎡」とでは、まるで意味がちがう。「13.2㎡」は面積をあらわすけれど、「八畳間」は面積だけでなく、部屋の形までもあらわしている。

落柿舎

▲落柿舎。障子がある部屋からはすぐに裏庭が見える。裏庭の景色を小さな一間に取り込んで、内外一如の世界を作り出している。

 では「13.2㎡」ではなく「3.6m×3.6m」とすれば「八畳間」と同じようになるのだろうか。残念ながらまだニュアンスが届かない。やはり「間」があらわせないのだ。

 間は「あいだ」と読む。むかしは「あわい」と読んだ。あわいとは、物と物との間、時間と時間の間、人と人との間、色と色との取り合わせを意味する。

 「八畳間」は、面積だけでなく形、形だけでなく柱と柱、天井と床、鴨居と敷居と長押とが生み出す構造をあらわしている。素材や色合いをあらわしている。その空間にある時間までもあらわしている。

 間取りとは、こうした「間」が集まった空間の配置のことだ。それは生活時間の流れや、家族の結びつき方にまでつながった配置のこと。

2021/4/28 NozomN

   

メール