nozomnの快適・カチョー生活辞典NozomNの 快適・カチョー生活辞典

36 奢る

品格順位

 ブカを飲み屋に連れ込み、会社のカネを使って大いに励ましても、それはそれで宜しい。しかしその場合、「今夜の払いは会社に請求するから心配せずに飲んでくれ」と断れば上品(じょうぼん)である。会社のカネを使っているのに、あからさまに或いは何気なく奢りであるかのように振る舞うのは下品下生(げぼんげしょう)ということだ。仏教では極楽往生の資格を上品、中品、下品と三分類し、それを更に上生、中生、下生と三段階に分けて査定している。他人のカネを使って己の奢りだと謀(たばか)れば最低ランクに査定され、カチョーとしてまともな往生は遂げられないのである。ブカにいかに奢るかは、カチョーの終生の品性を判定する試金石と言ってよい。十分に心すべきだ。ちなみに上生、中生、下生の中生はチュウショウと読む。チュウナマではない。十分に心すべきだ。

忙しくあれ

 しかもよくよく思い起こせば、ご馳走するとは文字通り駆け回ることなのである。ブカにご馳走するのに、カネだけ払って後はおっとり構えていてはいけない。まあ飲食の用意で貴兄姉が海に山に川に畑に厨房にと駆け回るわけにもいくまいから、そこは目をつぶるとして、店を探し予約を入れ、ブカの好き嫌いを勘案しつつ料理を注文するくらいの労を厭うてはなるまい。そして宴ともなれば、ブカの心を寛げる好適な話題で取り持ち、そのまま気持ち良く帰途に就けるよう心を砕くことが肝心である。奢るとはそういうことだ。奢るとは謙虚に身を低くしたまま、矢鱈に忙しいものなのである。